【野良猫保護part7】野良子猫を捕獲して飼うまでの実話【最終話】
愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
ここでは、野良子猫の保護から最終的な決断に至るまでの実際の体験談をまとめています。忘れられない思い出をこうして記事に残すことで、同じような境遇にいる方の助けになれば幸いです。
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目次
保護した子猫を親元(野良生活)に返すことはできない
一度、人のもとで暮らしてしまった猫は、元野良猫といえど、野良の生活に戻ることは難しいとされています。母猫のもとに戻したとしても、母猫は自分たちのニオイがしない子猫を敵対視し、縄張りを守るために攻撃をする可能性だってあります。狩りの方法を教わっているかどうかも分からない子猫を、こうした過酷な世界に戻すことは、もはや選択肢にありませんでした。
夫の猫アレルギーが発症してから、私たちに残された選択肢は2つ。
・猫アレルギー対策をしながら共に暮らす
・里子に出す
子猫にとっての“最幸”は「里子」に出すことだった
子猫は、この先10年、15年、長ければ20年と生きる力を持ちます。風来のいちばんの幸せを考えたとき、答えを出すのに多くの時間はかかりませんでした。風来を自宅に迎え、夫の猫アレルギー症状が見られたときから脳裏に浮かんでいた悲しい選択、それが風来を里子に出すことでした。
しかし、悲しいのは風来ではなく私たち人間であり、この悲しみは風来への情から生まれる人間のエゴ。生まれ育った場所や母元から離された風来のほうが、私たちの何倍も辛かったはずです。そう考えるほど、この子には生涯幸せに暮らしてほしい、ここ(自宅)を居心地のいい場所と感じてしまう前に、安心して住み続けられるお家を見つけてあげたい、という気持ちでいっぱいでした。
こうして私たちは、知り合いの知り合いまで広く里親を募り、約1週間後には風来の迎え入れを承諾してくれる方を見つけることができました。
子猫の里親さんと会う
風来の里親に立候補してくれた女性は、2匹の先住猫と暮らしている方でした(同居人数など個人情報は伏せさせていただきます)。お写真を拝見するとミックス猫のように見えたので、先住の2匹も保護により引き取られたのかもしれません。
風来の里親さんが見つかり、猫に対する愛情深いお話を聞いたとき、私たちはこの人なら風来を任せられると感じました。今考えればとても安易で軽率な判断で、正直、記事にすることすら迷っていたほどです。
なぜなら、昨今、巧妙な手口で親切な里親を偽り、行き場のない動物を引き取っては虐待を行う里親詐欺が各地で起こっているから。一口に虐待といっても、目に見てわかるような傷害行為のみでなく、飼育できる許容を超えて十分な餌や飲み水を与えられない多頭飼育崩壊なども動物虐待となります。
こうしたトラブルを防ぐため、多くの保護団体は里親希望者に厳しい譲渡条件を定め、適切な飼育管理ができる方にのみ譲渡を認めています。
里親詐欺は、保護動物の譲渡に慣れていない人の心理を利用する悪質な行為です。この子を生涯幸せにしてあげてほしいという気持ちが大きくなるほど、詐欺の危険は高まり、だからこそ、譲渡の際は念入りな取り決めや交渉が必要です。
法律による定めはありませんが、一般的に、保護猫を譲渡してもらうには以下のような条件を満たす必要があります。
〈保護猫の譲渡条件の例〉
- 本人確認書類の提示
- ノミダニ駆除やワクチン、避妊・去勢に伴う費用の負担
- 猫の飼育経験がない家庭で、6歳以下のこどもがいないこと
- 18歳以下のフリーターや学生ではないこと
- 家族の同意が得られていること
- 脱走防止策を実施できること
- 写真や動画で定期的な報告を一定期間続けられること など
※上記は一例です。保護猫の譲渡条件は保護団体により異なり、面談やトライアルの実施が必要な場合もあります。
私たちは、里親さんに多くは求めませんでした。
知り合いから里親希望の方の連絡先を聞き、何度かやりとりをした後、日程を調整して里親さんの自宅まで車を走らせました。県内近隣の市に在住する方だったので、幸い、風来もひどく酔うことなく目的地まで到着でき、待つこと数十分。
初めましてでお会いした里親さん。「ご足労おかけしました」と丁寧な挨拶で夫や私に労いの言葉をかけてくれた後、キャリーケースの風来を見た途端、輝くような笑顔になったあの瞬間が忘れられません。キャリー越しに風来へ声をかける様子は、日ごろから猫に話しかけている様子そのものでした。
風来と一緒に居られた時間はたったの1ヶ月でしたが、もっともっと長いものだったように感じます。お別れではなく風来の幸せへの第一歩だと思うと、送り出す際に涙は出ませんでした。
自宅に向かって走る車、ぽっかり空いた後部座席。助手席からルームミラー越しに後部座席を見たとき、堰を切ったように涙が溢れだし、風来との短い時間が走馬燈のように蘇りました。里子へ出すと決めてからの1週間は、少しでも風来との時間を作れるよう、家事や仕事を早く終わらせたりもしました。褪せない思い出とはこのことを言うのだなと、あの夏の1ヶ月を思い返すたびに、切なくも温かな気持ちが蘇ります。
子猫を里子に出してもうすぐ3年が経ちます
風来は私たち夫婦に、かけがえのない時間と、そのときは知る由もない幸せを与えてくれました。風来と過ごした1ヶ月があったことで、夫の猫アレルギーに強い耐性ができた可能性があり、今では愛猫を迎え、愛しい毎日を送っています。
黒猫は「魔女の手先」や「横切ると不吉」とよく言われますが、日本では古来より「福猫」として愛されてきた幸運の象徴。
あの夏の日、風が吹くように突然やって来た黒い子猫。この子と私たちにたくさんの福が来るように、追い風が吹くようにと願いを込めて名付けた「風来(ふく)」。
風来が来てくれたことで、私たちの暮らしは激変しました。人生が180°変わったといっても過言ではありません。そんな今、私たちは幸せな日々を過ごしていますが、風来は今どんな景色をみて、どんな気持ちを抱いているのでしょうか――。
風来はその後、なんともチャーミングな名前をもらい、先住猫と暮らしています。毎日たくさんの愛情にふれ、幸福に満ちた日々を送っていると信じています。
風来ちゃん、私たちのもとに来てくれて本当にありがとう。
後日談
風来を里子に出した翌年の春、風来のママちゃんが新たな子猫とともに近所を歩いているところを見かけました。風来を保護したタイミングで母猫の保護・避妊までしてあげることができたら最善だったのですが、そのときは実行に至れませんでした。
歩く姿をよくよく見ると、今回は以前と異なり痩せ細った様子は見られません。話を聞くと、どうやら近所で野良猫にご飯をあげているおうちがあるそう。私の住む地域(市)には野良猫の保護活動を行う団体があるので、事態が深刻になる前に相談しようと決めました。
あれからもうすぐ3年が経ちますが、近所で野良猫を見かける機会はめっきり減りました。ボランティア団体さんが手を尽くしてくれているのか、どこかで面倒を見てくださっているのか、真相はわかりません。ひとつ言えることは、この一件があったときから野良猫のために何ができるだろうと考える時間が増えたこと。
辛い猫生を送る猫ちゃんを一匹でも減らすことができるよう、私たちにできることから実行していきます。
本記事をもって、私たち夫婦と風来のお話は完結となります。長らくお付合いいただき本当にありがとうございました。前のエピソードは以下からご覧ください。
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風来が残してくれた幸せ▽
【野良猫保護part6】野良子猫を捕獲して飼うまでの実話
愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
ここでは、野良子猫の保護から最終的な決断に至るまでの実際の体験談をまとめています。忘れられない思い出をこうして記事に残すことで、同じような境遇にいる方の助けになれば幸いです。
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子猫の名前を「風来(ふく)」と名付けた
熱中症から一命を取りとめ、ぶじに回復してくれた野良子猫。動物病院の診察で男の子と判明した子猫は、つやっとした短毛で黒い肉球が可愛い黒猫くん(推定・生後3.5ヶ月)でした。お腹にはこっそりエンジェルマークのチャームポイントも。
黒猫くんの名前は夫婦で悩んだ結果、『風のように来た』ことと『追い風が“吹く”ように“福”がたくさん訪れますように』という願いを込めて『風来(ふく)』に決まりました。
動物病院の初診時は名前が決まっていなかったために診察カードが空欄で、2回目以降はしっかり『風来ちゃん』と記入してもらえたことが嬉しかったのを覚えています。
遊び盛りの子猫(野良出身)の遊び方がすごい
外の世界で育った風来にとって、家の中は未知の世界。一日中人間が身近にいるし、知らない音やにおい、見たことも触ったこともないモノが溢れています。私としては早く家や家族に慣れて欲しい気持ちもありましたが、我が家には別室に中型犬が居たため、お互いの危険やストレスを考慮してしばらくケージ飼育で様子を見ることにしました。
とはいっても、数日前まで外でのびのびと走り回っていたであろう風来。ケージ飼育は風来の安全を考えてのことでしたがストレスを溜めてしまっては本末転倒なので、一日に数回はケージの外で遊ぶ時間を作るようにしました。
植木やコード類など誤飲や事故の危険があるようなものはあらかじめチェックして対策し、いよいよリビングデビュー。
風来が初めてケージから出たときは、テンションが異様に高まってしまって背中を弓の字にしながら横飛びしていたっけ。突然ダッシュしたかと思えばソファの下に滑り込み、またダッシュしたかと思えばソファを軽く飛び越え、助走をつけたかと思えば2メートルあるカーテンをよじのぼって……。買ったばかりのカーテンがほつれていく様子は悲しかったなぁ(涙)すごい早さでダッシュして華麗なターンを決めるものだから、フローリングを蹴るたびに「キュッ」と音が出て「肉球を火傷しないか」と心配しました。あのときの笑いと衝撃は忘れられません。
今思えば、野良育ちの風来にとって、狭いケージの中で過ごす時間はとても退屈だっただろうなと感じます。ケージが開放されたときは思う存分遊び回ってくれましたが、それでも体力の半分も消耗していなかったんじゃないかな。
夫の猫アレルギーが発症した
風来が家族になって2週間が経とうとしていたころ、夫の体調に異変が起こるようになりました。
原因不明の頭痛やくしゃみ、目の充血や身体のだるさが続いたのです。はじめのうちは「夏の暑さで風邪でも引いたかな」「夏バテしちゃったかな」程度にしか考えていませんでした。
しかし、どんなに身体を休めても常備薬の風邪薬を飲んでみても、体調が良くなることはありません。おかしいな…と心配していたのですが、このころから薄らと最悪のケースが頭をよぎるようになりました。
そして、夫と風来がいつものように遊んでいたある日のこと。風来が夫に抱っこされた際、降りようと体をよじった拍子に夫の胸元を「シャッ」と引っかいてしまいました。
するとみるみるうちに夫の胸元が赤くただれ、ほんの2センチほどの爪痕よりはるかに大きな、湿疹をともなうミミズ腫れがあらわれました。引っかかれたといっても傷口はとても浅く、肉眼では皮膚が裂けてもいない浅いものです(当然血もでない)。
これには夫も私も絶句。後から話を聞くと、夫は過去に猫アレルギー(クラス3)の診断を受けたことがある猫アレルギー持ちだったのです。
夫は「もう15年以上も前のこと」と気にしていなかったようですが、風来を迎えてからの体調不良が猫アレルギーによるものなのだと、不安が現実になったときはショックを隠せませんでした。今、当時の自分の心境を振り返ると「薄々気付いていたけど考えないようにしていた」というのが正しいかもしれません。
風来と夫の大きな壁
夫が猫アレルギーを自覚してから、明らかに夫と風来の間には見えない壁ができていたように感じます。「なるべく至近距離で触れ合わない」「舐められたり引っかかれたりしないよう注意する」「抜け落ちている毛に敏感になる」など、風来との接し方には明らかに変化がありました。猫好きな夫としては辛かったかもしれません。夫は風来に最大限の愛情を注ごうとしてくれましたが、風来との暮らしでストレスがかかっていることは明白でした。
それでも風来のためと望んで保護し、風来を家族に迎え入れたのは紛れもない私たち。風来にとってみれば選択の余地すらなかったからこそ、私たち夫婦は命を預かる身として、風来を生涯幸せに過ごさせてあげる責任があります。
「猫アレルギーだったから」「ストレスが溜まるから」「思うように触れ合えないから」という理由で風来に辛い思いをさせてはいけないと考えるたび、私の脳裏には悲しい未来が浮かんでは消され浮かんでは消され、が繰り返されました。
次回、私たち夫婦が下した決断は……。
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【野良猫保護part5】野良子猫を捕獲して飼うまでの実話
愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
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野良子猫が熱中症に
動物病院から帰宅する際は、貸し出してもらった鉄製のペットケージに野良子猫を入れて帰りました。ペットケージ内にはペットシーツを敷いておきましたが、動物病院から自宅に着くまでの数分間に、すでに無数のノミ(成虫)がペットシーツに落ちていました。
無事自宅に到着し、その日は玄関ポーチ横の日陰でケージのまま子猫を休ませてあげることに。室内(玄関)に入れることも考えましたが、当時、我が家には中型犬がいたこと、冷房などによる冷えが心配だったこともあり、帰宅後は慣れた環境を優先させることにしたのです。しかし、この判断が子猫を命の危険にさらすことになるとは、このときは思ってもいませんでした。下の画像は、動物病院から帰宅した日の夜の様子です。
翌朝、子猫の様子を確認しにいくと、日陰になるはずの玄関ポーチ横は完全な日向となり、逃げ場のない子猫はペットケージ内で荒い口呼吸をしながらぐったりとしていました。午前といっても夏の太陽は高く昇っていて、ペットゲージには子猫の体が収まらないほどのわずかな日陰しか残されていなかったのです。子猫は残りわずかな日陰に隠れるように体を精一杯ペットゲージの端に寄せていましたが、日の暑さと地面からの熱により体力が奪われ、完全に熱中症になっていると判断。想定外の状況に慌てる暇もなく子猫を玄関に避難させ、濡れタオルで体の熱を逃がすことを続けました。
熱中症から一命をとりとめた野良子猫
子猫が熱中症になっていることに気づいてから体を冷やし続けること約20分。はじめは自力で水を飲む力も残っていませんでしたが、体の熱が逃げるにつれて少しずつ呼吸が落ち着いていきました。相変わらず口を開いたまま呼吸をしていましたが、口元に数滴の水を垂らすとペロペロと水を舐められるようになりました。
口呼吸がおさまったころには、横たわりながら容器に入った水を自力で飲めるように。やがて呼吸や心拍が穏やかになると、子猫は体を丸めてすやすやと眠り始めました。画像は玄関に設置した仮の段ボールハウスです。
ペットシーツとレジャーシートで防水対策をし、熱中症対策として大きめの保冷剤を入れ、定期的に交換しました。
あとで確認してわかったことですが、一年を通して日陰になることの多い玄関横は、真夏は朝早くから日が差し、日の出~正午にかけて日向になるようでした。私も夫もこのことに気がつかず、無知ゆえに子猫を命の危険にさらしてしまったことを深く反省し、命を繋ぎとめてくれたことに心から感謝しました。
野良子猫、初めてのシャンプー
保護した野良子猫が熱中症になった日、夜には食欲が戻り、いつも通りの量のキャットフードを間食。翌日には段ボールで準備した仮ハウスから出たいと言わんばかりにぴょんぴょんジャンプして、昨日の容態が嘘のようでした。
それから約1週間、子猫を玄関で見守りながら人とのコミュニケーションに慣れさせ、シャンプーに向けた準備を進めました。動物病院でノミ駆除薬(猫用レボリューション)を滴下した際、「子猫に下痢や食欲不振が見られなければ1週間後にはシャンプーしてあげて大丈夫ですよ」といわれていたためです。
もともと人への警戒が薄い子猫だったので人に触られたり抱っこされたりすることには抵抗が少なく、これならシャンプーもできるかもしれないと判断しました。
ノミの成虫が落ちなくなったことを確認して子猫を自宅に上げ、夫と私の2人がかりで子猫のシャンプーをスタート。初めての浴室、シャワーの音、匂いなどに驚き、最初は喚くように大きな声で鳴いていた子猫でしたが、二度目のシャンプーが終了するころにはすっかりおとなしくなっていました。じっと耐えるように目を見開き、小さな4本足で体を踏ん張らせていた姿が忘れられません。
野良猫のシャンプーを行うことは夫も私も初めての経験でしたが、暴れて引っかいたり噛みついたりすることもなく、穏便に済ませることができました。シャンプー中は生きたノミの成虫がまだ何匹もお湯に浮いてきましたが、最後のすすぎの段階ではノミは見られなくなりました。
シャンプー後の子猫の様子とケア
柔らかいタオルでよく水気をふき取った後、ドライヤーの弱風で子猫の体をすばやく乾かしました。子猫は慣れないお風呂に疲れたのか、ペットケージに戻ってから一度だけ少量の嘔吐がありました。このときは消化されかけたキャットフードを戻してしまい、ひどく心配しましたが、食欲はその日のうちに復活。夜にはケージ内のおもちゃでよく遊んでいたため、夫も私も大丈夫だろうと判断しました。そのときの様子はこちらです。
シャンプー後は疲れた顔を見せていた子猫ですが、毛艶は格段によくなり、翌日は今までにない目の輝きが見られたため一安心。
先住の中型犬がノミの影響を受けることがないよう子猫と犬の生活スペースは完全に隔離して、子猫は晴れて自宅スペースで家族入りを果たすことになりました。
次回は、家族になった子猫の命名エピソードとその後の生活、私たち夫婦を襲った悲劇についてまとめていきます。
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【野良猫保護part4】野良子猫を捕獲して飼うまでの実話
愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
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捕獲した子猫を病院へ
「今から向かいます」と動物病院に一報を入れ、車を発進。子猫は突然の出来事と車内の音・振動に驚き、喚くように泣き続けていました。幸い、動物病院までは車で約5分と近かったため、子猫に大きな負担はかからなかったように感じます。
病院に到着してから主人に受付を済ませてもらうと、診察まで子猫も病院内で待っていてOKとのこと。キャリーケースに入っているとはいえ待合室へ野良猫を入れることに抵抗がありましたが、快く対応してくれて安心しました。受付のスタッフは慣れた様子で対応してくれていたので、野良猫や保護猫を連れてくる方は案外多いのかなと感じました。
ちなみにこのとき、保護した経緯や子猫の名前が決まっていないことを受付でお話しました。「猫ちゃんのお名前が決まりましたらカルテと診察券に記入させていただきますね」と笑顔で言われたときに、これから家族の一員になるんだなと、小さな胸の高鳴りを感じました。
子猫は車中で毎秒鳴き続けていましたが、病院内に入ると自然とおとなしくなってキャリーケースの奥で縮こまっている様子。慣れない臭いの連続と他の動物の気配に困惑気味だったのかもしれません。
野良子猫に寄生したノミの数が尋常ではなかった
待つこと30~40分。名前を呼ばれて診察室へ入り、獣医師の先生に、改めて以下のような状況を説明しました。
- 数日前から痩せた野良猫の親子が庭先に現れたこと
- 母猫が戻ってこず、子猫だけが玄関先に取り残されてしまったこと
- 今日になり母猫が現れたこと
- 子猫を保護して家族に迎え入れたいこと
子猫を診察台に乗せる際は、念のため洗濯ネットを準備。しかし、子猫は暴れる様子もなく落ち着いていたので、そのまま診察台に乗せて診てもらうことになりました。先生は、子猫に「ちょっと失礼するね」と優しく声をかけながら診察を始めてくれたのですが、子猫の腹部を見ると「これは……」としばしの沈黙。そして「まずはノミ駆除が先決なようですね」とにっこり微笑みました。
黒猫ということもあり外で触れ合っているときはまったく気が付かなかったのですが、子猫の体表にはおびただしい数のノミが寄生していました。子猫の腹部や腰にノミ駆除スプレーを吹きかけると、診察台の上にはピョンピョン飛び跳ねる数十匹のノミの成虫が……。この光景は、数年たった今でも脳裏に焼きつくほどのものでした。
しかし、ノミ駆除スプレーで大半の成虫を落とすことはできても、卵や幼虫は駆除しきれません。この日は、触診や聴診による簡易的な健康状態のチェックや検査棒を使った便検査、ノミ駆除薬(猫用レボリューション)の滴下を行ってもらいました。子猫は栄養失調などによる成長不足が疑われましたが、幸い、熱やケガもなく健康状態は良いとのこと。感染症や寄生虫などの細かい検査については、ノミ駆除を済ませてから行う運びとなりました。
ノミ駆除が済むまで子猫も人間も安心して過ごせるようにと、病院側の提案で鉄製のペットケージを貸し出してくれ、何度もお礼を伝えて病院を後にしました。
母猫が子猫を置いていったのはなぜ?保護は正解?
獣医師の先生によると、母猫が子猫を置いていったことについては様々な理由が考えられるそうです。人間から食べ物をもらえることを学習した野良猫は人間に対する警戒心が薄れ、自分たちの寝床を引っ越したりテリトリーを変えたりと、非常に賢い行動を取るようになるのだとか。
また、人間から見て「子猫を置いていった」ように見えていても、猫の世界ではそうとは限らないそうです。どのような理由があったとしても、子猫に適切な処置を施して安心して暮らせる環境を作ってあげることができるのなら、この子(子猫)にとってはそれが一番幸せであるともおっしゃってくれました。
今回、野良子猫を保護することに対して大きな責任を感じながらも、心のどこかで罪悪感のような感情も芽生えていました。というのも、
人間の勝手で野良猫親子を引き裂いてしまったのではないか
母猫にとてつもなく辛い思いをさせているのではないか
子猫にとっては、母猫と一緒のほうが幸せなのでは
このような気持ちがあったためです。外の世界は厳しいけれど、野生を生きる動物たちにとってそれは当たり前のことであって、人間が手を出していい次元ではないような気がする。かといって目の前の小さな命を見過ごすこともできない。様々な考えが頭をよぎりますが、「野良猫たちの幸せ」を考えると、やはり私たちの行動は間違ってなかったのだと感じます。次回は、ノミ駆除のための壮絶な数日間の様子をお伝えします。
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新型コロナウイルスは猫に感染する?猫オーナーが注意するべき要点とは
[最終更新:5/8]
ペットの犬から新型コロナウイルス(2019 -nCoV)の陽性反応が出たと香港メディアにより報じられました。東京都獣医師会によると、現段階で犬や猫に新型コロナウイルスが感染する心配はないとされています。しかし、ウイルスが突然変異すれば、人間以外の犬や猫に対する感染力を持つ可能性はゼロではないとのこと。
⇒研究により、新型コロナウイルスの猫への感染が確認されました。海外において、一般住宅の飼い猫への感染例も報告されています。
引き続き感染予防を行うとともに、感染した場合のペットとの接し方に注意が呼びかけられています。本記事では、信頼性のある最新の発表をもとに、猫オーナーが行うべき新型コロナウイルス対策を随時更新します。
※参照元とする主な機関▽
- 公益社団法人東京都獣医師会 https://www.tvma.or.jp/index.html
- 公益社団法人北海道獣医師会 http://www.hokkaido-juishikai.jp/
- 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/index.html
- AMR臨床リファレンスセンター http://amr.ncgm.go.jp/
- 酪農学園大学動物薬教育研究センター https://cvdd.rakuno.ac.jp/
(2020/05/08更新)※新型コロナウイルスにかかわる情報は日々更新されています。詳しい発表や報告は公的機関HPを参照し、誤った情報や古い情報に注意してください。
- 陽性反応が出た犬の飼い主は新型コロナウイルス感染者だったが・・・
- 猫コロナウイルスは新型コロナウイルスではありません
- 新型コロナウイルスの突然変異で猫などのペットに感染する可能性は低いがゼロではない
- 猫オーナーがやるべき新型コロナウイルス対策
- まとめ:ペットオーナーとして責任ある行動を
陽性反応が出た犬の飼い主は新型コロナウイルス感染者だったが・・・
2月下旬、香港にて「ペットの犬から新型コロナウイルス病原体(2019 -nCoV)の陽性反応が出た」と報道され、全国のペットオーナーを激震させました。これを受け、厚生労働省や日本獣医師会は全国のペットオーナーへ向け、新型コロナウイルスの正しい理解と冷静な行動を呼びかけています。
というのも、香港メディアの報道内容は、正確には犬から陽性反応が出たというものであり、犬が新型コロナウイルスに感染したわけではありません。衝撃的な報道により「ペットに新型コロナウイルスが移るなんて怖い」「ペットから人間に伝染するの?」といった誤った認識が広がりつつありますが、ペットオーナーの皆さんは落ち着いて正しい情報に耳を傾けることが大切です。
繰り返しになりますが、2020年1月(中国)を皮切りに世界各国で感染者が増加し続ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ヒトとヒト間で伝染する感染症です。厚生労働省によると、重症化すれば新型肺炎に進行し重篤な症状を引き起こす恐れがあるとのことですが、感染時は保健所をはじめとした専門機関の指示に従い、適切な治療を受けることで重症化させず回復を見込めると発表されています。
参照元▽
- 酪農学園大学動物薬教育研究センター
- -2020.03.02トピックス https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3435.html
- -2020.03.05トピックス(続報) https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3440.html
- 厚生労働省
- -令和2年3月3日時点版 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2
猫コロナウイルスは新型コロナウイルスではありません
ネコに発症すると下痢などの症状が見られる「猫コロナウイルス(FCoV)」を知る猫オーナーは多いでしょう。各専門機関の発表によれば、ネコ間でのみ伝染する猫コロナウイルスは、このたびの新型コロナウイルス(HCoV)とは病原体が異なるとのことです。猫が猫コロナウイルス病原体に感染すると腸炎による下痢症状のほか、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に変異する可能性があるとされていますが、排泄物などをつうじて伝染が起こるとしても、それはネコからネコへ移るものです。
よって、猫コロナウイルスの感染状況がヒト間で伝染する新型コロナウイルスに影響する心配はないと考えられます。
また、2020年2月28日付けで発表された東京都獣医師会の通達によると、新型コロナウイルス病原体がヒトからネコへうつる可能性はかぎりなく低いと発表されています。以下、該当部分の一部抜粋です。
“これまでに新型コロナウイルスが、犬猫を含むペットに感染したという報告は一切ありませんので、その心配はかなり小さいと考えられます。”
引用元:https://www.tvma.or.jp/public/2020/02/post-66.html
⇒現在では、新型コロナウイルスの猫への感染が確認されています。
北海道獣医師会からは以下のような見解が示されています。
“Q:新型コロナウイルスはペットや家畜に感染しますか?
A:犬にも、猫にも、以前からコロナウイルス感染症はありますが、それは動物種独特のものであり、種を超えて感染はしません。犬コロナウイルスや猫コロナウイルスはαコロナウイルスに属し、今回の新型コロナウイルスはβコロナウイルスに属します。すなわち、犬のコロナウイルスは犬でのみ、猫のコロナウイルスは、猫でのみ伝染します。同様に、2019 n-CoV新型コロナウイルスは、ヒトの間でのみ伝染します。”
引用元:http://www.hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/53d1dea4e325ec44623ec576f80df981.pdf
参照元▽
- 東京都獣医師会
- -飼い主さんに向けて(新型コロナウイルスQ&A) https://www.tvma.or.jp/public/2020/02/post-66.html
- 北海道獣医師会
- -新型コロナウィルス感染について http://www.hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/53d1dea4e325ec44623ec576f80df981.pdf
新型コロナウイルスの突然変異で猫などのペットに感染する可能性は低いがゼロではない
3月6日現在、ヒト間における感染力を持つとされる新型コロナウイルスですが、突然変異によりウイルスの性質が変化すれば、ここまで伝えてきた内容が覆される可能性もあります。
⇒4月には、新型コロナウイルスの猫への感染が確認されました。
新型コロナウイルスの突然変異によるペットへの感染は引き続き危惧されていますが、ウイルスをペットが媒介する可能性は現段階では低いとされています。以下、北海道獣医師会による発表の該当部分、一部抜粋です。
“※ウイルスは、まれに突然変異を起こし変化します。将来的にはどうなるかはわからない が、現時点では、種を超えた感染が、2019 n-CoVにはないと言われています。
・新型コロナウイルスが、ヒトからペットに移り、ペットは発症しないがウイルスを所有 し、次のヒトに伝染させるという「ペットの媒介」も、今のところは否定されています。”
引用元:http://www.hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/53d1dea4e325ec44623ec576f80df981.pdf
参照元▽
- 北海道獣医師会
- -新型コロナウィルス感染について http://www.hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/53d1dea4e325ec44623ec576f80df981.pdf
猫オーナーがやるべき新型コロナウイルス対策
緊急事態宣言が出されたウイルスの脅威から家族を守るために、まずは飼い主自身が感染予防を行いましょう。新型コロナウイルスはヒトからヒトへ感染する病原体です。症状が悪化すれば同居する家族や交流を持つ人たちへウイルスを感染させる恐れがあり、最悪の場合、一緒に暮らす猫を自宅外へ預けることも検討しなければなりません。
飼い主が日常生活で注意するべき基本の感染予防は、以下に詳しく掲載されています。
東京都獣医師会(2020年2月25日発行)
- 感染予防に関するハンドブック[第1版] https://www.tvma.or.jp/public/items/20200304.pdf
- 諸注意 https://www.tvma.or.jp/public/2020/03/post-70.html
厚生労働省(2020年3月1日発行)
- 新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601720.pdf
- 家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント~ https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
上のほか、猫の飼育環境では次のようなポイントに注意していくことが大切だと感じます。
猫をなるべく外に出さない
家と外を自由に出入りさせて猫を外飼いしているオーナーさんもいるでしょう。ですが、外で誰かに撫でられることで猫の体にウイルスが付着してしまう可能性はゼロとはいいきれません。猫にかかるストレスを考慮し、外に出す時間を短くさせる、戻ってきたら毎回顔や体を拭く、外出させる以外の方法で気を紛らわせてあげるなど、できるかぎりウイルスを運ばせない工夫をすることが大切なのではないでしょうか。
猫のケアで人の外出を控える
人が外出を控えるべき今、「猫に何かあったら動物病院に行けば大丈夫」という考えはご法度です。緊急時はやむをえないとしても、飼い主が猫の様子をしっかり観察し、小さな変化やサインを見逃さずにケアしてあげることができれば、動物病院へ足を運ぶ回数を減らせるでしょう。診療の必要性があるか事前に問い合わせることもおすすめです。
たっぷり可愛がり、癒される
在宅勤務や自宅待機、休校などにより家にいる時間が増えやすい今、いつも以上に猫との時間を作れるという人もいるのではないでしょうか。国内では感染者数が増え続けていることからこの先の不安は拭いきれませんが、せめて猫との時間くらいはたっぷりの愛情をもって接し、癒しをもらってください。平常心で冷静な判断を心がけ、心と体のケアを怠らないようにしましょう。
猫のお世話に必要な消耗品は必要な分だけ購入する
キャットフードやトイレ砂、ペットシーツや除菌剤など、使用頻度が多く購入サイクルが早いものはストックを確認し、必要があれば通常どおり購入しましょう。各種商品の買い占めによる在庫薄状態は間もなく沈下すると伝えられています。
また、各所でアナウンスされているように、過度な姿勢で衛生用品を買い占めたり、食料品をストックしたりする必要はありません。飛び交う情報に感化されず、平常どおりの行動を心がけましょう。
まとめ:ペットオーナーとして責任ある行動を
- 新型コロナウイルス病原体はヒト間で伝染するもの
- 香港の報道内容を簡潔にすると、犬に新型コロナウイルスが感染したのではなく、何らかの理由で付着していたことから、低度の陽性反応が出た
- 新型コロナウイルスがイヌやネコに感染するリスクは現段階では極めて低い
- 猫コロナウイルスは新型コロナウイルスと異なる病原体
- 新型コロナウイルスが突然変異すれば犬や猫に感染する可能性はゼロではない
- 新型コロナウイルスは犬や猫、フェレットなどのペットに感染します
- 飼い主は猫や家族のためにも自分自身の感染予防を徹底する
- 飼い主は猫の飼育環境を見直してたっぷり可愛がり、落ち着いた判断と行動を
新型コロナウイルスは現在世界各国の主要機関や専門機関で研究が進められていますが、特性や特効薬、発生源は未だ発見されていません。日々情報が錯綜していますが、誤った情報の多くは内容が飛躍し、心理的な不安を招きやすい表現も多いです。信頼性のある正しい情報をキャッチしながら感染予防を続け、大切な家族のために、飼い主としてやるべきこと・できることを考えていきましょう。
(2020/05/08更新)※新型コロナウイルスにかかわる情報は日々更新されています。詳しい発表や報告は公的機関HPを参照し、誤った情報や古い情報に注意してください。
【野良猫保護part3】野良子猫を捕獲して飼うまでの実話
愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
ここでは、野良子猫の保護から最終的な決断に至るまでの実際の体験談をまとめています。忘れられない思い出をこうして記事に残すことで、同じような境遇にいる方の助けになれば幸いです。
前回までのお話はこちら▽
かかった費用や必要になったもの、あって便利だった道具の一覧を見るにはこちら▽
--Coming Soon--
直撃する台風に絶える子猫
夜も更ける頃、台風はピークを迎え、しばらくの間激しい雨風が子猫を襲いました。幸い、軒下に避難させておいた65cmプランターが子猫の緊急避難場所として活躍し、子猫が直接雨に打たれることはありませんでした。
また、進行速度が速かったことで思ったより台風の通過が早く、台風の目を超えたあたりから、一気に雨脚は弱まりました。深夜になると雨はぴたっと止み、暴風雨による落ち葉の残骸と土の香り、ときどき木々から落ちる雫の音だけが周囲に広がっていました。
台風が通り過ぎた後も子猫はプランターの裏から出てくる様子はなく、頭や尻尾の位置もわからないほど、黒い煤(すす)のようにきれいに丸まっています。
私たち夫婦はしばらく母猫の帰りを待ちつつ、家の中から子猫の様子を見守っていましたが、体力も限界に近付き、その日は窓のそばを離れて眠りにつきました。
台風一過、戻らぬ母猫
翌日早朝、外は快晴。野良猫親子の動向が気になり、起床後すぐに子猫の様子を確認すると、昨夜から隠れていたプランターの裏に変わらず子猫の姿がありました。しかし、周囲には母猫の姿は見当たりません。あの豪雨の中を駆けていったのにはどのような理由があったのでしょうか。残された子猫を心配するのと同時に、このときは何より母猫が無事であってほしいと願うばかりでした。
その日は子猫に餌と水を与え、母猫の戻りを待つことに。いつもならば子猫が残した餌を食べに後から母猫が現れていたのですが、このときばかりは母猫が現れる気配がありません。子猫は我が家の軒下周辺を離れる様子はなく、餌を食べるか物陰に隠れて寝ているかといった時間を過ごしていました。しかし、このまま母猫が現れないようでは確実にこの子猫は我が家に居着くことになります。私たち夫婦は、母親の戻りを待ちながら、しばし子猫の親役を買って出ることにしたのでした。
子猫の保護・飼育を決断
それから数日、母猫が戻ってくることはありませんでした。子猫は我が家の敷地周辺や駐車場など、自宅から見える位置にいることが多く、1匹でどこかへ行く様子もありません。あれから一度も母猫を求めて鳴きすらしないので、「もしかしたら私たちが気付かない間に母猫が様子を見にきているのでは?」と、使っていないスマートフォンで窓越しに外の様子を録画したこともありましたが、やはり母猫の姿はありません。
健康状態もわからない生後数ヶ月の子猫は、このままいけば外飼い状態。すぐ近くには交通量の多い車通りもあります。私たち夫婦は、数日間子猫に餌を与えて様子を観察し、家族に迎え入れることを決断しました。
野良子猫の捕獲~計画・準備~
子猫の保護を決断した日、近くの動物病院に野良猫を診てもらいたい旨を伝えました。野良猫は、ほぼ絶対といえるほどノミやダニをはじめとした寄生虫がいるため、連れて行く場合は周囲の患者さんへの配慮が必要です。動物病院によっては、事前の相談が必要な場合もあります。HPなどに何も記載されていなくても、前日までに連絡を入れておいたほうがスムーズに受け付けてもらえることが多いです。
わが家の近隣の動物病院は野良猫の診療を快くOKしてくれたため、捕獲当日はその足で動物病院へ向かう段取りにしました。可愛い子猫といえど、活発なノミ・ダニが寄生した状態で家の中に入れることに大きな抵抗があったためです。
それから必要なものを買いそろえて自宅に戻りました。このとき作成していた必要な道具の買い出しリストは、以下の通りです。
野良猫捕獲のための道具リストと目的
ペットキャリー
捕獲した子猫を入れるため。捕獲器と迷いましたが、だいぶ人慣れしていたことと、今後も使用できることからペットキャリーを選びました。
洗濯ネット
病院へ向かう際、捕獲した子猫が暴れる場合に使用します。
ペットシーツ
ペットキャリーの中で粗相をしてしまっても良いように。
焼き鰹(猫用おやつ)
すでにスキンシップが図れるほど人慣れした子猫でしたが、嗜好性抜群のおやつでとことん子猫の警戒を解くことが目的です。
革手袋
万が一、爪や歯を立てられてもケガを負わないように装着しました。
キャットケージ
無事家の中に入れられるようになった場合、子猫と人間の安全を考慮して、慣れるまでケージ飼育に決めました。
キャットフード
追加で購入しました(内容量は2kgを選びました)
猫砂・猫用トイレ・ウンチ取りのスコップ
必需品。もともと外で用を足している野良猫なので、鉱物系の安価な猫砂にしました。猫用トイレは100円ショップにある大きめの洗面器、スコップは子どもの砂遊び用のスコップで代用しました。
猫用爪とぎ
100円ショップにある段ボール製の爪とぎを購入しました。付属のマタタビは安全性が不明なため使用しませんでした。
猫用おもちゃ
遊んでくれるかは分からないけど期待を込めて。こちらも100円ショップで購入しました。
野良子猫の捕獲~捕獲当日~
捕獲当日、真夏日。夫とは捕獲の手順や車への動線、動物病院から戻った後の子猫の一時避難場所など、細かく相談&イメトレしました。捕獲当日まで母猫は姿を現すことがなく、
「もしかしたらどこかで飼われていた猫なのか?」
「今頃飼い主が必死になって探していたらどうしよう」
「本当にうちで保護して良いのか?」
など多くの葛藤がありましたが、ここまで来たら引き戻ることはできません。
ペットキャリーや洗濯ネット、おやつを準備し、車は前もってエンジンをかけて車内の温度を下げ、捕獲準備は万端です。
朝のキャットフードがもらえる時間になり、子猫はいつものように私たちの様子をうかがっては「ニャー(飯くれー)」と鳴いています。夫が手に持つのは美味しい美味しい焼き鰹(猫用)。絶品の香りに急ぎ足で近寄ってきた子猫は、夫の手から夢中で焼き鰹を頬張りはじめました。
半分ほど食べた頃でしょうか。食べるペースが落ち着いてきたのを見計らって、鰹で子猫をキャリーケースの中へ誘導しました。手こずった場合や逃げた場合のプランも想定していましたが、子猫は迷うことなくキャリーケースの中にイン。背後でキャリーケースの扉が閉まったにもかかわらず、子猫は美味しそうに焼き鰹を食べ続けていました。あっさり捕獲でき、このとき思ったことといえば、以下のとおり。
夫「焼き鰹おそるべし」
私「この子、穏やかな良い子に育つわ(早くも親ばか)」
おとなしくキャリーケースに入ってくれたため、計画通り素早く車の助手席に運び、扉のドアを閉めようとした次の瞬間。なんと、前方に子猫の母親、ハチワレの母猫が数日ぶりに現れました。ここで母猫が登場することは私も夫もいっさい想定できなかったため、突然のことに言葉を失い、しばらく身動きが取れずただただ母猫と子猫を交互に見ることしかできませんでした。あまりの緊急事態に私たちが動揺している間、子猫は焼き鰹を食べ終わり、自分が置かれた状況を察知するや否や甲高い声で鳴き始めました。すると子猫の声を聞きつけた母猫が鳴きながら車に接近し、私たちはいよいよパニック寸前。
しかし、ここで子猫を開放すれば、人間を警戒して人に寄りつかなくなるかもしれない。そうなれば外の世界で2匹の安全は約束されません。かといって、今の時点で母猫の捕獲は無理。
私たちは、鳴き続ける子猫と母猫に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、車のドアを閉め、動物病院へ向かったのでした。
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【野良猫保護part2】野良子猫を捕獲して飼うまでの実話
愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
ここでは、野良子猫の保護から最終的な決断に至るまでの実際の体験談をまとめています。忘れられない思い出をこうして記事に残すことで、同じような境遇にいる方の助けになれば幸いです。
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帰ってきた母猫
鳴き疲れて眠る野良子猫を眺め、ただひたすらに母猫の帰りを待つ私たち。時刻は0:00を回ろうとしていたとき、どこからともなく母猫が戻ってきました。急ぎ足で子猫に近寄ると、臭いを確認して一生懸命に毛繕いをしています。子猫は今まで寝ていたことが嘘かと思えるほど必死に、母猫の母乳を探しています。
私たちはそんな2匹の様子にほっと胸を撫で下ろして、静かに玄関の扉を閉めるのでした。
野良猫親子のテリトリーとなった我が家
それからというもの、餌をあげたわけでもないのに野良猫親子はほぼ毎日、家の前に姿を現すようになりました。正確には、どこかへ向かうための通り道に選ばれたといった感じでしょうか。近所では2匹以外の野良猫を見かけたことがなかったので、2匹にとって安全なルートという認識があったのかもしれません。そそくさと通り過ぎていく日もあれば、日向ぼっこをして小休憩を挟んでいく日もありました。窓越しに2匹の姿を眺めているだけで、幸せな気持ちになれたことを今でもよく覚えています。
しかし、幸せは長くは続かないのだなと、自然の厳しさを教えられたのが、このときにやってきた大型台風。もの凄い早さで進行する台風は進路を変え、早くて明日の夜にはこの地域を直撃する予定でした。予報では1時間あたりの降水量が50ミリ近くなり、大雨と暴風が吹き荒れるとのこと。こうはしていられないと、夫と緊急会議を実施し、2匹をどうするか話し合いました。
野良猫親子へ餌を与える決意
緊急会議は数分もかかることなく終了。私たちが出した答えは、意見が食い違うことなく以下の通りとなりました。
- 台風が直撃する前に2匹に餌を与えて、体力を温存させよう<
- もしも家に居つくようになったら責任を取ろう
- このタイミングで大型台風が直撃すると聞いて、2匹を放っておくわけにはいかない
時刻はすでに21:00を回っていて近隣では開いているスーパーがなかったため、2匹が食べられそうなキャットフードをコンビニで購入してきました。日ごろどのような餌を食べているかは分からない、子猫は固形物を食べられるのか分からない、でもきっと食べてくれるだろうと願って買ってきたキャットフードはどこにでも売られている大手メーカーのカリカリ。自宅周辺の道路に2匹がいないか注意しながら家に戻ると、少し離れたところに野良猫親子の姿が見えました。私たちは家にあった適当なプラスチック容器にキャットフードと水道水をそれぞれ用意し、玄関先の少し離れた場所に設置しました。
ガサガサと何かしている様子に2匹とも離れた場所から警戒していましたが、置かれた容器に気が付くと10分も経たないうちに近寄ってきました。特に興味を示したのは子猫のほうで、母猫の心配もよそにどんどん私たちの元へ近寄ってきます。
子猫が先に餌に気が付くと、ペロっとひと舐めしたかと思った瞬間、貪るように「ウミャッ、ウニャッ」と声を出しながらキャットフードを食べ始めました。後方で目を細めている母猫は、警戒しているような、安心しているような、ただ子猫を見守る体勢でした。
今思えば、本当は私たちが見えない場所へ一旦隠れたほうが良かったのだろうけど、あのときはただ「食べておくれ」という気持ちが強く、餌を置いた場所から2mも離れないで様子見ていました。
すると、満腹になったのか容器にキャットフードを残して、子猫が母猫のもとへ。母猫に匂いを嗅がれた子猫はすぐに餌の入った容器のほうまで戻ってきて、私たちに向かって「ニャーン」と大きな声で鳴きました。なんて言っているのかは分からない、でも気づいたときには夫はすり寄る子猫を撫でていて、母猫はそんな様子を警戒しながら、ゆっくりと餌の入った容器に近づいてきました。
夫は猫じゃらしの代わりに雑草で子猫をじゃらし、子猫は夢中で雑草の先を狙っています。とうとう餌の容器の目の前まで近づいてきた母猫は「フシャーッ」と一度だけ大きな威嚇をし、ゆっくりと、でも無我夢中で残ったキャットフードを平らげたのでした。
野良猫親子に襲いかかる暴風雨
明くる日。朝から湿った風が吹き荒れ、午後には暗雲が立ち込めてきました。このところ毎日のように姿を見せていた2匹の姿はありません。私は2匹が来てくれることを願って昨日と同じ場所にキャットフードと水を設置し、定期的に窓の外を確認するしか、為すすべがありませんでした。
日が沈み、雨が本降りになってきた頃、どこからともなく2匹が現れました。あまり濡れていない様子を見ると、車の下や軒下など、どこかで雨宿りをしていたのかもしれません。2匹は昨日より警戒することなくキャットフードを口にし、我が家の玄関の軒下に丸まり始めました。強い風で雨が四方八方から吹き荒れているため、このまま雨が強まれば軒下は大惨事。どうしようかと悩んでいるうちに、子猫は軒下の大きなプランターの裏に隠れて眠りについた様子。人間がどうのこうのと考えている間に、「野生に生きる動物はこうやって本能で安全な場所を見つけるんだな」と、子猫の様子を見て言葉にできない感情が込み上げてきました。
母猫は子猫を見守るように軒下の脇に腰を下ろしていましたが、そこは雨が強まればびしょ濡れになってしまう場所。かといって、プランターの裏は母猫が入れるほどの隙間はありません。今プランターを動かしに行けば、2匹は警戒して逃げ、この大雨の中を彷徨わせることになる。不安ばかりが先行していた私と夫は、何もできずに、ただただ涼しい家の中から2匹を見守ることしかできませんでした。
台風の夜に子猫を置いていく母猫
台風が間もなく直撃するという頃、外はひどい暴風雨でした。静かに外をのぞくと子猫はその場を動く様子がなく、母猫はキョロキョロとしきりに辺りを見渡し始めました。すると次の瞬間、初日に子猫を置いていってしまったときのように、母猫が猛ダッシュで雨の中に駆けていってしまいました。それは目にできたのが奇跡と思えるほど一瞬の出来事だったのですが、またしても置いていかれた子猫は大丈夫なのでしょうか。私たち夫婦は、吹き荒れる暴風雨のごとく、嫌な予感がしてならないのでした。
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Part.8
【野良猫保護part1】野良子猫を捕獲して飼うまでの実話
愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
ここでは、野良子猫の保護から最終的な決断に至るまでの実際の体験談をまとめています。忘れられない思い出をこうして記事に残すことで、同じような境遇にいる方の助けになれば幸いです。
かかった費用や必要になったもの、あって便利だった道具の一覧▽
--Coming Soon--
野良猫の親子が現れた
梅雨明けしたばかりで、まだ蒸し暑い初夏の夜。
夫に呼ばれて玄関の外に出てみると、家の目の前に一組の野良猫の親子がいました。白黒(ハチワレ)の母猫と、真っ黒の子猫です。母猫は慣れた様子で家の駐車場の脇に寝そべり、まったり休憩している模様。子猫はというと、元気いっぱいで母猫に飛び掛かったり、歩き回ったりしています。
猫好きの私にとっては仕事の疲れも吹き飛ぶ癒しの光景。この頃は毎日のように猫動画をチェックして猫欲を満たしていたので、実際に見る野良猫ちゃんの愛くるしい姿といったら言葉にできないほどでした。
野良猫親子と私たちの距離は10mも離れていませんでしたが、突然玄関から出てきた私たちに驚く様子もなく、「どこかで餌をもらったことがあるんだろうね」と、私も夫も意見が一致。母猫は落ち着きのない子猫を横目で見守りながら、私たちの存在にも気を張っているように感じました。
母猫や子猫に声をかけると、逃げはしないものの近寄ってくる様子もなかったので、30分ほど2匹を見守った後、私たちは家に戻りました。
母猫の様子がおかしい
翌日の夜、昼間は姿を見せなかった2匹が再び現れました。家の前の道路に2匹が出てきているのに気が付いたのは、街灯で照らされた外の道路が、窓越しに何気なく視界に入ったときでした。
「また猫いるよー」と夫が声をかけてくれたのでワクワクしながら外へ出てみると、昨日と同じ場所に野良猫親子がいました。その日は、母猫がちょっぴりリラックスしているように見えたことを今でもよく覚えています。
「やっぱり猫は可愛いね」と他愛ない会話をしながら野良猫親子を眺めていると、2匹ともすごく痩せ細っているのが気にかかりました。
母猫は痩せているのかまだ若いのか、体格が小ぶりで生後1年も経っていないように見えるほど。子猫のほうは四肢や尻尾が長いわりに胴体が痩せていて、よく見ると骨張っている様子でした。
「子猫は生後2ヶ月くらいかな?」なんて夫と話していましたが、触ることもできないのでそのときは確認する術がありませんでした。子猫はしきりに母猫の母乳を欲しがっていて、どれだけ母乳を吸っても満たされた様子には見えません。母猫は、その痩せっぷりから、「十分に母乳が出ていないんじゃない?」と心配になるほどでした。
しばらく野良猫親子を眺め、夫と雑談をしていた、そのとき。
地面に寝そべっていた母猫が突然勢いよく立ち上がり、辺りをキョロっと見渡したかと思うと茂みの奥へダッシュしていってしまいました。子猫は一瞬の出来事にキョトンと立ち尽くした後、何事もなかったかのように雑草にじゃれだしました。
母猫が走っていった先を見ると、木々の茂みと真っ暗闇が続くだけで母猫の姿は見えません。しかし、家の外周をぐるっと回っていったようで、ときどき遠くの道路をダッシュで駆けぬける母猫が見えました。私と夫は突然のことに驚きながらも、
夫「狩りにでも行ったのかな」
私「人間が側にいるから天敵に襲われないと思ったとか?」
夫「そうだとしたら頭いい」
私「確かにね。それか親離れの特訓でもしてるのかな(笑)」
なんて会話をしながら母猫の戻りを待つこと30分。
いくら待てども、母猫は姿を現すどころか、気配すら感じられなくなってしまいました。これには子猫もさすがに不安になった(もしくはお腹が空いた)のか、周囲をキョロキョロしながら甲高い鳴き声で「ミー!ミー!ミー!ミー!」と叫んでいます。
時刻はすでに22:00。辺りは街灯や住宅のわずかな明かりのみ。山地や田畑が近い家の周辺には、タヌキやハクビシン、カラスも多いため、夜更けに非力な子猫一匹では心細すぎます。ましてや住宅地といっても車が出入りする道路なので、うっかり轢かれでもしたら……。
私も夫も子猫を1匹にさせておくことに不安があったので、母猫が戻ってくるまで外に待機することにしました。何をするわけでもないのですが、今思えば、いざとなったら子猫を全身全霊で守ってやるってくらいの心の準備がどこかで出来ていたような気がします。
置いていかれた子猫
時刻は23:30を過ぎ、住宅の明かりもポツポツと消えはじめるころ。子猫は鳴き疲れたのか、街灯から少し離れた薄暗い道路脇で丸まって寝てしまいました。私と夫は自分たちの飲み物やモバイルバッテリーを持ってきて、玄関で母猫の戻りを待つのみ。
けれども、いくら待っても気配がなく静けさが増していく夏の夜に、不安が募るばかりで……。
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※2020/02/28追記
今週のお題「ねこ」に参加しています
【ライティング】現役Webライターの1日、労働時間やタイムスケジュールを紹介。休日は何してる?
ライティングを始めたい、ライターになりたいという方へ。
ここでは、Webライターしらひか(@ly_shirahika)がかれこれ7年続ける「ライティング」というお仕事やスケジュールについて簡単に紹介します。これからライティングを始めたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。※個人の経験にもとづくものなので、すべてのWebライターに当てはまるわけではありません。
Webライティングとは?仕事内容は?
ライティングとは、目的に沿ったコンテンツ(文章や記事)を作成・納品し、その対価として報酬をもらうお仕事をいいます(企業に勤めている場合は給与)。雑誌や専門誌などの紙媒体で記事を書くこともライティングといえますが、単純に「ライティング」という場合、近年はホームページやWebサイトなどインターネット上の記事制作を指す場合が多いです。つまり、よく聞くライティング(writing)=Webライティングということ。専門的に扱うジャンルによっては現地取材や撮影、インタビューが必要となることもあります。
Webライターとは?どんな働き方があるの?
本業・副業問わず、Webライティングを通じてお金を稼ぐ人たちをWebライターと呼びます。Webライターの働き方は大きく分けて2パターン。
「企業で働く」もしくは「フリーランス(自営業)」です。
雇われて働く場合:
企業でWebライターとして働く場合、正社員・契約社員・アルバイト・パートなど雇用形態はさまざま。決められた勤務時間のなかで、記事やコンテンツを仕上げていきます。
フリーランスで働く場合:
フリーランスのWebライターは自宅を仕事場として、さまざまな取引先から記事作成のお仕事を受注することが基本。フリーライターとも呼ばれます。クライアント様(ライターに仕事を頼みたい人、企業)は世の中にたくさんいらっしゃいますが、ライバルとなるライターの数も膨大なため、自ら仕事を掴んでいくための努力と姿勢が欠かせません。
フリーランスのWebライターの労働時間
私の場合、1日の労働時間は休憩を入れて6時間前後です。これまでの経験から、本業として生計を立てていくには最低でも「5時間/日」の時間が必要なのでは、と感じます。
しかしWebライターの労働時間は結論から言ってしまえば「自由」。今日は4時間、明日は8時間……なんて働き方も不可能ではありません。しかし、時間を決めて行動すると生活にメリハリがつくので、きちんと「仕事」をこなすなら毎日の労働時間は決めておくことをおすすめします。
とはいっても、家に居ながら自分で予定を管理するため、もちろん例外もあります。たとえば、
- 予定にない来客
- 家族の体調不良
- 自分の体調不良
- 見過ごせない急用 など
私の経験上、 困ってしまうのは「近くを通ったので寄ってみたよ」というアポなしの訪問。余裕がある日は対応できても、忙しい日は対応しきれないこともあります。
家族や自分の体調不良も予定を狂わせてしまう出来事のひとつです。お勤めもフリーランスも基本的には“身体が資本”のため、自分や家族の体調管理には人一倍気を遣います。
また原則として、納期に遅れることに体調不良は通用しません。熱が出ようが寝不足だろうがパソコンに向かいます(執筆速度は別として)。フリーランスにとって、体調管理はスケジュール管理と並んで大切な仕事のひとつ。もしも「体調悪いかも」と感じたら、休めるときにしっかり休養をとって身体を労ることも欠かせません。
ですが、フリーランスという働き方は工夫次第でスケジュールを自由に組み替えられる点が魅力だったりもします。
- 急なお出かけのお誘いに合わせてスケジュール変更
- 雨続きだったときの貴重な晴れ間、大量の洗濯のためにスケジュール変更
- 作業ペースを上げてスケジュールを前倒しに変更(連休確保!) など
納品待ちの記事を前倒しで執筆していったり、上手に時間を作ったりできると、とんでもなく私的な都合に合わせてスケジュールを変えたりもできます。会議などの予定があれば外出は難しいですが、そうでなければこうした自由の利くところが、フリーランスや在宅ワークの魅力ではないでしょうか。
フリーランス、やはり悪くないです。
Webライターの1日のスケジュール
仕事の時間は、ほぼ執筆時間にあたります。平凡な仕事の日、納期に追われる激務の日、休日でそれぞれのスケジュールをまとめてみました。
平凡な仕事の日
暇でなく忙しくもない、スタンダードな一日です。今まではとんでもない夜型生活で遅寝遅起きの毎日だったのですが、愛猫を迎えてから規則正しい生活リズムになりました。
時刻 |
スケジュール |
6:30 |
起床 |
7:00 |
掃除、洗濯、朝食 |
9:00 |
運動(最近はHIITトレーニングが主流です) |
9:30 |
猫のブラッシング、遊びタイム |
10:00 |
仕事(午前) |
12:00 |
昼食 |
13:00 |
仕事(午後) |
15:00 |
猫の遊びタイム |
16:00 |
仕事(キリが悪かったり、終わらせたい仕事があるときは続けて執筆します) |
17:00 |
仕事終了、夕食準備 |
18:00 |
夕食、片付け、翌朝食の準備 |
20:00 |
入浴 |
21:30 |
自由時間 (読書、映画鑑賞、愛猫とまったりしたり、ブログを書いたりなどさまざまです。空いた時間は“有意義“に感じられる時間にしたいので、ダラダラ過ごすことだけは避けています) |
23:00 |
就寝 |
平凡な日の特徴
- 朝から体を動かして気分爽快!
- 睡眠時間は平均7時間確保します
- 日中は仕事と家事で終了、夜~が自由時間です
納期に追われる激務の日
“遅れられない”というプレッシャーがあまりに続くと負のストレスの極みに到達するので(私の場合、必ずといっていいほど恐怖の夢を見ます)、基本的には納期に追われないよう仕事をこなしていくことが一番です。
しかし、緊急の依頼が入ったり、予期せぬトラブルでスケジュールが押してしまったときは納期かつかつで執筆しなければいけないことも。そんな日は、家族の理解と協力を得ながら激務の一日となります。
時刻 |
スケジュール |
6:30 |
起床(場合によっては起床時刻を早めます)、朝食 |
7:30 |
仕事(午前) |
12:00 |
昼食 |
12:30 |
仕事(午後) |
17:30 |
夕食準備 |
18:00 |
夕食、片付け |
19:00 |
入浴 |
20:00 |
仕事(夜) |
23:00 |
執筆終了の目標① ここで終わらなければ休憩をはさんで再開 |
1:00 |
執筆終了の目標② (横になると寝てしまうので、洗顔したりストレッチしたりして無理やり頭と手を動かします) |
3:00 |
執筆終了の目標③ ここで終わらなければ休憩をはさんで再開 |
5:00 |
強制終了ライン 脳みそも体も手もHPゼロの瀕死状態 (これ以上続けても文章にならないので、終わらせて寝ます) |
激務の日の特徴
- 掃除、洗濯、運動は割愛して朝一で仕事を始めます
- 簡単にはなりますが朝食、昼食、夕食はしっかり摂ります
- 夜は終了目標を決めて仕事を再開します
- 合間の休憩はとにかく目が覚めるようなことをチョイス
- 強制終了した場合、翌日朝は100%寝た記憶がありません
ライター1年目~2年目までは、こうした徹夜の日がありました。自分の許容量を超えた受注や、自己管理ができていないなどが主な原因です。
朝5時に寝て、2~3時間後には無理やり起きて執筆の続きを始める……といった地獄のような日もありました。今考えるとおそろしくて、とてもできません。
ペース配分ができないうちは睡眠時間を削って仕事に没頭しがちですが、これをするととにかくパフォーマンスが落ちます。文章の質が落ちたり、通常15分で終わる作業に1時間かかったりなんてこともありました。
この時期は心身ともに辛く家族にも負担をかけていましたが、今ではどんなことがあっても睡眠時間・家族の時間・自分の時間を大切にしています。
休日の過ごし方
休日は曜日を固定せず、週に最低1日は確保するように心がけています。お仕事のタイミングによっては週1確保が難しい時期もあるので、そのようなときは半休(午前にのんびりするか、午後を自由時間にする)を取り入れて心身をリフレッシュ。
ちなみに1日しっかり休みが取れれば、
- 趣味の楽器を吹く
- 映画鑑賞
- ショッピング、レジャー
- 実家帰り
- 外食
というように、仕事の日にできないこと堪能します。平日に休みを取る場合はクライアント様と最低限の連絡を取れるよう心がけ、それ以外は仕事のことを考えません。こうしてON・OFFにメリハリを付けられると、在宅で仕事をしていてもきちんと継続してお仕事を捗らせることができます。
おわりに
私の場合、今回ご紹介したようなスケジュールがベースです。空いた時間を自由に活用できるので、そういった面では仕事・家事・プライベートの3つにメリハリを付けやすいといえるかもしれません。
たとえばですが、ここに育児が入ると、よりシビアなスケジュール管理・自己管理が必要ですよね。子どもが寝ている夜~深夜の時間を執筆に充てる、自分は空いた時間に少しでも睡眠をとるなどの工夫がパフォーマンスに直結するのではとおもいます。
フリーランスのライティングは、このように自分で自由に段取りを組める反面、体力があるかぎり無理をしてしまうという方も多いです。ライティングを始めたばかりの方やこれから始めようという方は、まず自身と家族の健康を念頭におき、無理のない計画を立てる事から始めてみてください。
まとめ
- ライティングとは記事を納品して報酬をもらうお仕事のこと
- 単なる「ライティング」ならWebライティングを指すことが多い
- Webライターになるには、企業の従業員orフリーランス
- フリーランスのWebライターの労働時間(目安)は6時間前後
- 毎日の労働時間は自分で決めるものであって、例外もある
- 1日のタイムスケジュールは家族構成、仕事量、納期などによって変わる
- 管理能力が安定するまでは徹夜になる日も多い
- 休日はおもいきりのんびりする
- ON・OFFのメリハリが長続きの秘訣